JR乗りつぶし旅行~山陰本線・宇部線~(中編)

 翌朝。お部屋の窓のからは境水道(斐伊川)とその向こうに島根半島が眺められます。

 朝風呂のあとお部屋で昨日買っておいたおにぎりの朝食を済ませて、チェックアウト。
 境港駅はがらんとしています。

 駅前のロータリーには隠岐への船が出港する七類港行きのバスが来ていて、数人が乗っていきました。

 ようやく折り返し米子行きとなる列車が到着。

境線 普通  境港(08:27)→米子(09:11)
列車番号1636K キハ40形気動車(キハ40-2118+47-2004)

 乗ったのは朝8時半前に出発する米子行き。ちなみにこの列車を逃すと次は10:25発までありません・・・不便すぎ。

 発車しかけたと思ったら急ブレーキ。どうやら、改札からホームに駆け込んできた親子連れがいたっぽいです。ちゃんと彼らを乗せてあげるあたり、田舎の良さを感じますねぇ。

 境港駅を出た時点では空席が目立っていたのですが、米子空港駅でほぼ満席に。せめて1時間に1本は走ってほしいですなぁ。

 米子駅に到着。ここから次の列車まで1時間以上あります。事前情報では駅弁販売もやっている駅そば屋があるっぽかったのですが、工事中のせいか見当たらず。今日のお昼ごはん、どうしよう。

山陰本線 普通  米子(09:46)→松江(10:20)
列車番号135K キハ126形気動車(12編成)

 ぼーっとしていても仕方ないので、先発する普通列車に乗り込みました。

 使用車両は、キハ40形の後継として開発されたキハ126形。特急型のキハ187系と同じエンジン(ただし1基のみ。)を搭載し、最高速度は100km/h。高速化工事による輸送改善策のひとつだそうです。
 やっぱり米子~松江間は大学生などの利用客が多いようで、米子駅出発時点でほぼ満席。松江到着時には立ち客もけっこういましたね。

 米子駅から35分ほどで松江駅に到着。大急ぎで改札外にある弁当屋に行きお昼ごはんを確保します。

山陰本線 特急 スーパーおき3号
   松江
(10:33)→益田(12:42)

列車番号3003D キハ187形気動車(7編成)

 ホームに戻ると、特急待ちの長蛇の列ができてました。やってきたのは、昨日のスーパーまつかぜと同じキハ187系2両編成の特急スーパーおき3号です。

 予想どおり、スーパーおき3号も2両編成で自由席車両の2号車は満員御礼。実は昨日の夕方、境線に乗り換える前に米子駅でこの特急の指定席を確保しようとしたのですが、すでに満席だったんですよね・・・
 幸い、たまたま出雲市駅で海側の窓側席を確保できましたけど、大田市駅あたりからはデッキに立ち客もいらっしゃいました。

 松江駅から出雲市駅までは宍道湖沿いの景色が、そして出雲市駅からは日本海の景色が続きます。車掌さんの観光アナウンスによれば、夕暮れ時にはそれはそれは素晴らしい眺めになるんだとか。

 出雲市駅を出ると、再びリアス式海岸に沿ってカーブが多くなります。でも、そこは制御振り子機構を備えたキハ187系。松江駅から益田駅までの162.6kmを2時間09分で駆け抜けました。表定速度は80km/hに迫る速さ・・・すごい!

 お昼過ぎに益田駅へ到着。特急列車はここから山陰本線を離れて山口線に入り新山口駅へ向かいます。そんなわけで、ここから先の山陰本線は、完全に普通列車のみとなります。

山陰本線 普通  益田(13:12)→長門市(15:06)
列車番号1571D キハ40形気動車(キハ40-2047)

 やってきたのは、再び真っ赤なキハ40形。今度は両運転台の単行です。

 時間はちょうどお昼時。発車まで時間があったので、今朝松江駅で仕入れたお弁当を広げました。

 剥きしじみを酢飯に混ぜ込んで砂に潜ったしじみをイメージした出雲地方の郷土料理「もぐり寿司」の上に、サバとカニのほぐし身を載せた豪華な駅弁。2013年の出雲大社大遷宮を記念して発売されたらしいです。ちょっと面白いのが、中央に載せられた金針菜、ユリのつぼみの酢の物。ほかではなかなか見かけない、松江駅の駅弁製造元一文字家さんならではだそうです。
 昨日食べた鳥取駅のかに寿しよりも酢が効いていて、焼きサバの塩味とはマッチしてるけど、カニの味には強すぎるような気が。もうちょっと、酢を落としてもいいんじゃないかしら。

 そうこうしているうちに発車時刻。益田駅を出るとすぐに渡るのが高津川。そしてしばらく海沿いを走ります。やがて列車は山の中へ。

 益田駅から15分ほどで飯浦の集落へ。

 飯浦駅の時刻表。めっちゃ本数が少ないです・・・
 でも、この駅で降りていくお年寄りがいらっしゃいました。通院とかで使ってるのかしらん。

 飯浦駅を出ると、県境の峠を25km/h制限を受けながら超えていきます。江崎駅を経て須佐駅を発車すると、山陰本線で最長2214.7mの大刈トンネルへ。トンネルを抜けた直後に渡る惣郷川橋梁の付近は絶景スポットとしても有名です。海の水の透明度もすごいですねー。

 東萩駅に到着。
 長州藩の城下町であり、松下村塾や松陰神社など明治維新にまつわる様々な出来事の舞台となった地、萩の中心駅です。もっとも、↑に書いたとおりこの駅に発着する列車は泣けるほど少なく、観光客の大半は石見空港や新山口駅からのバスを利用してるんじゃないかしら。
 一応、豪華クルーズトレインTwilight Express瑞風も停車するっぽいですけどね。

 東萩駅を出発するとやがて阿武川を渡ります。阿武川鉄橋からは、橋本川と松本川とに分かれるのが見えます。萩の中心地である城下町は、正面に見えるこの2つの川に挟まれた中洲に築かれています。時間があったらのんびり散歩したいですねー。

 阿武川を超えた先にあるのが萩駅。駅名だけ見るとこっちのほうが中心じゃないかと思えちゃいますが、市の代表駅であり中心地に近いのは東萩駅のほう。山陰本線を作り始めたときに先にできたのがこの萩駅だそうでして、その半年後に東萩駅まで延伸したんだとか。駅舎はこっちのほうが風格がありますけどね。

 萩駅のお隣、玉江駅を出ると、再びリアス式海岸沿いを走ります。車窓からの眺めは絶景!

 玉枝駅の2駅先にあるのが飯井(いい)駅。飯井は三方を山に囲まれた典型的な漁港集落。赤い瓦屋根の家並みと海の蒼とのコントラストが美しいです。

 長門三隅駅を出ると、やがて行く手に港町が見えてきました。

 定刻どおり、午後3時過ぎに長門市駅に到着。美祢線などとの接続駅であり、この駅発着の列車も多数設定されている交通の要衝。そして海上アルプスと呼ばれ日本海では佐渡、隠岐に次ぐ大きさを誇る青海島への玄関口でもあります。もっとも、お隣の萩市が有名すぎて、長門市のほうは若干霞んじゃってる感じですけどね。
 乗ってきた列車はこの駅で8分ほど停車。ホームに降りてのんびりするヒトを尻目にワタシは大急ぎで改札口を抜けて、小ぢんまりとした駅前ロータリーで客待ちしていたタクシーに飛び乗ります。

 向かった先は、長門市駅から3km弱のところにある仙崎駅。タクシーで5分、運賃は¥1,000ほどでした。
 仙崎駅は、山陰本線の支線(通称「仙崎支線」)の終着駅。といっても、仙崎支線は長門市駅のお隣がこの仙崎駅で途中駅はないんですけどね。

山陰本線・仙崎支線 快速○○のはなし
   仙崎
(15:23)→新下関(17:50)

列車番号8630D(長門市~下関8829D、下関~新下関8542D)
キハ40形気動車(キハ47-7003+47-7004)

 この駅に停車中だったのが、観光列車「○○のはなし」。
 仙崎支線は泣けるほど本数が少なく、定期列車は朝に3本、お昼に1本、夕方に2本の合計6本だけ。それゆえ乗るのはかなり困難なのですが、時刻表を見ていたら長門市駅の到着時刻からこの「○○のはなし」の仙崎駅発車時刻まで16分あることに気が付きましてね。これ、タクシー使えば間に合うんじゃない?とイチかバチか試してみた次第です。

 「○○のはなし」は東萩~仙崎~下関~新下関を休日を中心に1往復している全席指定の観光列車。快速列車なので青春18きっぷでも乗車できます。

 停車駅にはこのような駅票が設置されています。これ、新潟の観光列車「越のShu*kura」に似ていますね。最近の流行りなのかしらん。

 列車のコンセプトは、「西洋に憧れた日本(洋)、西洋が憧れる日本(和)」。そのとおり、1号車は和風、2号車は洋風の内装となっています。こちらは2号車。

 2号車にはこのようなサービスカウンターがあります。と言っても、販売しているのは事前予約制のお弁当やおつまみセットのほか、沿線の地酒や土産物だけみたい。コロナ禍前は、コーヒーやビール、おつまみや菓子なども販売していたっぽいんですけどね。5月以降は復活するのかしら。

 今も販売している地酒がこちら。ツマミなしでこれだけってのもなぁ・・・

 お隣1号車はこちら。のんびり酒を飲みながら過ごすのはなかなか良さそう。

 1号車のドア付近には、地元の工芸品を展示しているガラスケースが3箇所。あと、トイレもちゃんと付いてます。

 仙崎駅から4分で再び長門市駅に到着。長門市駅を発車する際は、駅員さんたちのお見送り。こちらも越のShu*kuraで同じようなお見送りイベントがあったような。

 長門市駅を出発すると、只の浜沿いに走ります。海の向こうは青海島。観光列車らしく眺めの良いところで一時停車して、ゆっくりと眺めを楽しませてくれました。もちろん、車掌さんやアテンダントさんによるガイドアナウンス付きです。

 2号車はすべての座席が海向き。乗客は同業者の男性と熟年夫婦が多かったかな。
 でも途中駅から地元の方っぽい女性が乗ってきて、車窓には目もくれずにパソコンを叩き出してました。それで気が付いたんだけど、シート脇には新幹線みたいにコンセントも付いてました。観光列車だけどビジネス利用もできるっぽいです。

 長門市駅から20分ほどで人丸駅に到着。わざわざ5分の停車時間があるそうです。

 この人丸駅は、CNNが発表した”Japan’s 31 most beautiful places”に選ばれた元乃隅神社の最寄り駅(といってもタクシーで20分ですが。)。それにちなんで、駅舎前には赤い鳥居が設置されています。

 次の停車駅は阿川駅。この駅では11分停車します。

 無人駅ですが、駅前には2019年に解体された旧駅舎の跡地にカーポートのような建物が建てられ、カフェが営業していました。ほとんど、この列車の乗客のためのお店って感じがします。
 それはともかく、↑のとおり列車内の売店が機能停止なので、コーヒーやビール、ツマミを仕入れるには絶好の場所ってわけですね。

 メニューはこんな感じ。このカフェ、JR西日本も一枚かんでいるようで、「○○のはなしオリジナルセット」なんてものもあります。ワタシもオリジナルセットをお買い上げ。

 中身はこちら。クッキーの小袋とドリップコーヒーパック1個、それにコーヒー(又は甘夏のスカッシュ)1杯で¥1,500ナリ。○○のはなし5周年記念のイラスト入りステッカー&紙袋付きというのがニクイ。

 というわけで、阿川駅でもお見送り。

 ここから先は、ひたすら下関駅を目指します。車掌さんが記念スタンパーを持って改札に来ました。でも、ちょっとショボくてがっかり。所属の乗務区すら書かれてないし。どうせなら、これくらい凝って欲しかった。
 あ、でもスタンプを押してもらうとこの記念乗車票ももらえます♪

 日が傾き始めたころ、列車は吉見駅を通過して七曲海岸沿いの最後の海沿いルートに差し掛かります。ここでも列車は徐行運転して響灘の夕景を堪能させてくれました。

 本州最西端の下関駅に到着。九州からのお客さんがけっこう多かったようで、列車はかなりがらーんとなりました。

 ここにも「○○のはなし」専用駅票が。

 車内販売コーナーのアテンダントさんもここでお別れ。お見送りをしてくれました。

 山陰本線と山陽本線とが合流する幡生駅を通過すると、列車はぐるっと右へカーブして山陽本線に入ります。2日かけて走破した山陰本線ともここでお別れ。

 午後6時前に終着の新下関駅に到着。
 ここから引き続き山陽本線に乗り継いでもよかったのですが、あえて¥2,160を課金して山陽新幹線に乗ることにしました。

山陽新幹線 こだま864号
   新下関
(18:00)→新山口(18:21)

列車番号864A 新幹線500系電車(V8編成)

 長~い連絡通路を通って新幹線ホーム3番線に上がると、そこで停車中だったのは500系新幹線のこだま864号。
 いつかコレに乗りたいと思っていたところだったのでめっちゃラッキー♪小躍りしちゃいました。

 お隣の厚狭駅に着いたところで、さっそく撮影タイム♪
 500系新幹線車両は、飛行機との競争が激しかった山陽新幹線においてJR西日本が徹底して高速性能を追求して制作した車両。それゆえに丸みを帯びた断面や戦闘機のように長く尖ったノーズが特徴的で、1997年の登場から25年以上経過した今でも新幹線車両人気ランキングではぶっちぎりの1位を保持しています。

 この500系は、あまりに高速性能を追求した結果、悲劇の運命をたどった車両でもあります。
 運転開始当時の従来車両である300系と車両ごとの座席数やドア位置が異なってしまうこと、そして加速性能で未だトップを保持するほどの高性能と引き換えに高コストでもあることが問題となり、2007年に500系と同等の走行性能をもちながら座席数や省エネ性能に優れたN700系が登場すると、徐々に東海道新幹線から撤退させられます。300系よりも早く東海道新幹線から姿を消したというのが、JR東海のアンチ500系ぶりを物語ってますね。
 結果、現在では8両編成に短縮し、最高速度285km/hのこだま専用という運用に甘んじているのは、なんとももったいないというか、なんというか。でも、新幹線歴代車両で「のぞみ運用歴最短」という悲劇のエピソードも、かえってこの車両の人気に拍車をかけているのかも。

 午後6時半前に新山口駅へ到着。ワタシのように古い人間からすると、小郡駅って言ったほうが通りがいいんですけどね。どうも、「新山口駅」ってのはなじめないデス。
 それはともかく、新幹線を降りると大急ぎで宇部線が発着する8番線に向かいます。待っていたのは宇部線の105系。3分乗り換えだったのでけっこう必死でした。

宇部線 普通  新山口(18:24)→宇部新川(19:14)
列車番号1855M 105系電車(U-01編成)

 宇部線は、高速にこだわった500系新幹線とは真逆の鈍足路線です。もともとは美祢方面からの石灰や石炭を宇部の工場へと運ぶための貨物路線。「運べりゃいい」がコンセプトだったので、全線単線で路盤も悪く、さらには駅数も多くて駅間も短いこともあって速度は二の次になっています。
 新山口駅から終点の宇部新川駅までの27.1kmを50分もかけてようやく到着しました。

(写真は翌朝撮影)
 今宵のお宿は、宇部新川駅から徒歩5分のところにあるANAクラウンプラザホテル宇部です。
 宇部市を代表するような高級ホテルですが、お値段はお安め。1泊素泊まりで1万円のところ、ANA-SFC特典で1割引、さらには全国旅行支援で20%オフ+¥2,000クーポンが付いてくるので実質¥5,300ほど。めっちゃお得でした♪

 アサインされたのは10階のお部屋。ドアを開けて、あまりの広さにビックリでした。以前泊まった広島のクラウンプラザなんて、クラブフロアなのに東横イン並みの狭さでしたからねぇ。

 バスルームも広々。欲を言うなら、バスタブをもうちょっと深くしてほしかったかな。

 フロントでもらったANA-SFC特典の朝食とウェルカムドリンクのチケット。ウェルカムドリンクは冷蔵庫のミニバーでも使えるというので、ありがたく一番搾りをいただきました♪

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