眠気覚ましに

「おい，眠いだろう。これ，食うといい」
　砧貴重名物の，おつまみ昆布だ。行きに比べて帰りの便は，時差の関係で眠い。いくらレストで休んでも，席に座って二時間もすると眠気が襲ってくる。眠気予防には飴やガムで口を動かす工夫をしているが，１０時間以上も座って食べ続けていると，どうしても太ってしまう。そんな悩みを国際線パイロットの誰もが抱えている。
「ガムは砂糖が入っているし食った後が汚い。これならカロリーは低いし，ミネラルが豊富だ。なんたって自然食品だしな。いろいろ食ったが，この”とろべー”がうまい」
「すみません。いただきます」
　沢村はペデスタルの上に置かれた袋から一つ取り出して口に含んだ。ハイテク機器に場違いな磯の香りが口の中に広がる。
「むかしの日本人は良いものを作ってくれたな。最近聞いた話だと俺たちの宇宙線の被ばく予防にも良いらしい。ヨウ素が含まれているからな。（後略）」
内田幹樹　著「操縦不能」（新潮文庫）より

　先日，夕食のおかずをあさりにスーパーへ行ったら，これを見つけて思わず買っちゃいました。
　パイロットに限らず，仕事中の眠気，特に昼食後のあの猛烈な眠たさは人間共通の悩みでしょう。コーヒーをバカスカ飲んで何とかしのいでいましたが，どうもカラダに悪そう。
　そんなときに見つけたのがこれ。小説の中で出てきていたので，まさか実在する商品とは思いませんでした。眠気覚ましになるし，何より美味しいですよ，これ。