君の名残を

 今朝の北関東も冷え込みました。
 ぎりぎり氷点下は免れたけど、コート&マフラー&手袋はもはや必須。来月あたりにはヒートテックとかホカロンも登場かしら。

 こないだの鬼怒川で読みふけった本がこちら。
 映画化もされた小説「四日間の奇跡」の著者でもある浅倉卓也さんの小説「君の名残を」。
 主人公は剣道が得意な高校生の男女2人。それが平安時代末期にタイムスリップして、それぞれ巴御前と武蔵坊弁慶として生きていくというストーリー。
 そういえば、代表作の「四日間の奇跡」でも死にかけたヒロインが主人公が連れている少女に乗り移る設定だったけど、浅倉さんってそういう「入れ替わり」ストーリーが好きなのかしらね?

 タイムスリップしたあとの流れは「ほぼ」史実どおりに進みます。主人公たちは現代に帰ることもなくその時代のその人物として生きていかざるを得ないわけでして、そのことや「現代の少年少女の感覚から見た」自分や周囲の人の運命(←当然結果まで知っちゃっているわけです。)に対する想い・葛藤を描くのがこの小説の真骨頂。
 ま、完全に史実どおりかといえばそうでもなく、法住寺合戦とか衣川の戦いのシーンでは「?!」なところもあるわけですが、そこはご愛敬というか、↑のテーマを描くために必然の虚構なのかと。
 そもそも弓矢中心の当時の戦において主人公たちの剣術がどれほどの意味を持ったのか(剣術という概念が生まれたのがちょうどこの時代。)とかツッコミどころは満載なれど、基本的には史実(というか平家物語の筋書)をそれほどいじってはいないのですんなりと読めました。
 欲を言うなら、木曾義仲&巴御前とか木曽義高&大姫のラブラブぶりをあれほど描くのなら、義経&静御前のラブラブももうちょっと描いてほしかったなぁと。能楽でも著名な「吉野静」のシーンがまったく触れられていないのは、かなりガッカリでした。静御前の前半生についてはちゃんと磯禅師との出会いから描いているのにね・・・
 まー全部で1,000頁を超える大作だけに、どこをどの程度描くかとか、そして中心テーマとそれ以外の部分のバランスとか、それなりに考えはあってこうなったんでしょうけど。

 ネットでの評判を見ると、「ぜひ大河ドラマの原作に。」なんていう声もちらほら。
 SFチックな設定とか史実を改変している部分(しかも物語の構成上動かせない。)とかが歴史好きな大河ファンの興をそぐ部分はあるかもだけど、その設定ゆえに主人公たちへの感情移入がしやすくなっている部分もあるはずでして。若年層向けにはちょうどいいかも。

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