ヴェネツィアにて(その6)

 ヴェネツィア最終日の朝。いつもの早朝散歩&朝食のあとは、VaporettoでS.Tomaへ向かいました。この先にあるのは、サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会(Basilica di Santa Maria Gloriosa dei Frari)という長~い名前の教会。サンマルコ寺院の鐘楼に次ぐ高さの鐘楼(入れないけどね。)をもつ、ヴェネツィアを代表する教会の一つです。
 ちなみに、ヴェネツィアには無数の教会がありますが、そのうち「Chorus」という連盟に加入している教会(16あります。)についてはインターネットで事前に入場券の購入ができます。ワタシの場合は3回まで入場できるチケットを事前購入してありました。入口でバウチャーを見せると、3つスタンプを押せるカードをホチキスで止めてそこにスタンプをポンッと押してくれました。

 中央身廊の入り口。何とも豪華な装飾です。

 祭壇。主祭壇に掲げられているのがティッツィアーノの代表作「聖母被昇天」だそうです。

 振り向いて、教会入り口にも古そうな宗教画がありました。ちなみに、この教会ができたのは15世紀のこと。500年を経て、未だにその豪華さを失わないってのも凄い。


 フラーリ教会を出ると、その裏にある大同信組合(Scuola Grande di San Rocco)へ向かいました。
 同信組合Scuolaとは、中世ヴェネツィアにおける職業別の組合のこと。現代日本での農協とか漁協、各業界団体のようなものでしょうか。ちょっと違うのは、キリスト教全盛の中世ヴェネツィアのこと、Scuolaでは単なる同業者というだけでなく「同じ守護聖人を信仰」することも求められました。
 今回訪れた大同信組合は、S.Roccoを信奉する富裕層の組合。経団連みたいな感じですかねー。訪れた建物はその本部会館のようなところです。

 内部の撮影が許されているのかよく分からなかったので写真を撮るのは控えたのですが、まあ「中世ヴェネツィアの富裕層」がどんなにトンデモナイものかが良くわかりましたよ。

 さて、S.Tomaの船着場に戻る途中、不動産屋さんを見かけました。なんか、すごく高いお値段ばかり。ヴェネツィアに住むのは大変そうです。

 やってきたのはトラゲット乗り場。
 ヴェネツィアの公共交通機関はVaporettoだけって先ほど言いましたが、実はもう一つ、Traghettoという渡し舟があります。
 かつては主要交通機関だったゴンドラはとっくに主役の座をモーターボートに譲ってしまい観光客専用の乗り物になってしまいましたが、辛うじて公共交通機関として活動しているのがこのTraghetto。ちょっと大きめのゴンドラを使った渡し舟です。

 ヴェネツィアの大運河Canal Grandeには、橋が3つしかありません。それ以外の場所で向こう岸にわたる唯一の足がこのTraghetto。5か所くらいに設けられているみたいです。
 料金は1回2ユーロ。船頭さんにコインを渡して乗り込むのですが、普通のゴンドラと違うのは「立乗り」ということ。客は前から詰めてゴンドラに立乗りして、ある程度客が「たまると」出発。前後の船頭さんがオールを漕いで向こう岸に渡してくれますが、これがけっこうスリル満点でした。

 Traghettoを降りてから、てくてくと向かったのはボヴォロ階段(Scala Contarini del Bovoro)。住宅街の中にあるちょっと隠れた名所です。
 もともとはコンタリーニ家の宮殿に設けられた外階段らしいのですが・・・自分ちにこんなの作るってどんだけ金持ちなんだ!


 ちょっと前までは外から眺めることしかできなかったらしいのですが、何年か前から内部も解放されたみたいです。
 入場料を払って中に入ると、中はこんな感じ。ぐるぐると文字どおりのVoboro(=ヴェネツィア方言でカタツムリのことだそうです。)みたいにぐるぐると渦を巻いてます。

 てっぺんに来たみたい。こんな見晴らし台みたいなのがあります。

 てっぺんからの眺望はなかなかです。
 それにしても、ヴェネツィアってホントに建物が密集してますね。火事が起きたらどえらいことになりそう・・・

 ホテル近くまで戻って、ランチは初日に食べたなぜか関西弁の親父がやってるお店でビールとペンネをいただきました。

 オープンテラスでのんびりビールをいただいてたら、後から来た二人連れが隣のテーブルでコーラを飲みながら煙草をぷかぷかとし始めました。ヴェネツィアって、なぜか喫煙者が多かったですね。海風に乗って思いっきりこっちに煙が流れてきちゃうんで「タバコ苦手だから席を代わって」と身振り&英語で話しかけたら、男性客は意味が分かったみたいで快く後退してくれましたよ。いい人でよかった♪

 食後は、Arsenaleから1番のVaporettoに乗ってSaluteへ。船着場の名前にもなっているSanta Maria della Salute教会がお目当てです。

 ここ、なぜか無料でした。
 中は八角形のホールみたいになっていて、それぞれの壁にある祭壇に宗教画が掲げられてます。

 先に述べたとおり、この教会はペスト流行の終焉を神に感謝して建てられたもの。文字通り「神頼み」しか無かった時代の、「神頼み」への執念が感じられます。

 さてさて、S.Zaccariaに戻ってから2番のVaporettoで向かった先S.Giorgio。お目当てはもちろんSan Giorgio Maggiore教会です。

 こちらも入場は無料。
 祭壇にはパイプオルガン、そして両脇にいずれもティントレットの手になる宗教画が掲げられてます。向かって左側にあるこちらは「マナの天降」というお題なんだとか。

 この教会の最大の目玉は、高さは75mとサンマルコ寺院の鐘楼Campanileに匹敵する高さの鐘楼。有料で登ることができます。Vaporettoを使わないと来られないのでCampanileより空いてるのもいいですね。
 対岸のDucale宮殿やCampanileの眺めが良い感じ。それにしても、凄い人ごみですねー。

 美しい庭園と、その向こうに広がるラグーナ。この辺りが多島海だってことが分かりますね。

 西側の眺め。夕暮れ時のGiudecca運河もいいですねー。

 さて、そろそろ夕食時なので、42番のVaporettoで向かった先はGuidecca島。Palancaの船着場で降りて、目の前にあるTrattoria Pizzeria Do Moriでヴェネツィア最後の晩餐を楽しむことにしました。

 運河沿いのオープンテラスでいただくワインは最高です♪
 滞在中、Yahoo!の天気予報ではしばしば雨予報が出ていたのですが、フタを開けてみたらずっと晴れ。日頃の行いが〇いからですね!

 ラストなので、ちょっと豪華に前菜の盛合せでワインを楽しみました。

 メインはボンゴレビアンコ。
 Giudecca島は観光名所がないしVaporettoに乗らないと来られないので、観光客はあまり来ないみたいです。そのせいか、お値段はしめて40ユーロと格安でしたよ♪

 41番のVaporettoで帰ります。Campanileをバックに沈む夕焼け。夜7時すぎですけどね。

 ホテルで一息ついた後、ヴェネツィア最後の夜に再びCampanileに登りました。ここ、季節にもよるようですが夏は夜9時まで営業しているのでぎりぎり夜景が楽しめます。
 こちらは昼間行ったS.M.Salute教会。ライトアップされた姿も美しいです。

 サンマルコ広場の夜景。さすがに8時を過ぎると人通りもまばら。でも、カフェの生演奏はまだやっていて、かすかにピアノやバイオリンの音色が聞こえてきます。

 Ducale宮殿とSchiavoni河岸の夜景。ため息が出る美しさです。

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