キミ読む

 去年あたりから実家がらみの用事が増えて、上京が多くなってます。そんなわけで今日も実家に帰ったわけなんだけど、夜までに帰れれば良さそうなので途中でちょいと寄り道。湘南新宿ラインを池袋で降りて、てくてくと東池袋へ。ここの「豊島区立舞台芸術交流センター あうるすぽっと」でやってる舞台がちょいと気になったので、ワタシにしては珍しく観劇することにした次第。

 この「あうるすぽっと」も初めて入ったけど、とってもキレイなのでビックリ。ロビーにはカフェなどもあったりしたので、開演前にカフェラテで一息ついちゃいました。大人気な役者さんが出るわけでもないので、土曜日の午後イチという最も混みそうな時間でも当日券があったみたい。さすがに開演時間にはほぼ満席となり、残念ながらワタシの席の両隣にも客が来ちゃいましたが・・・

 さてさて、今回観る舞台はこちら。

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 何度も繰り返す記憶に翻弄され秀雄は生きている今を生きることが出来ないでいた。
 絶望の告知を受けた幸子は希望を求めてペンを握る。
 傷の原因を直視出来ない水葉は見失ったケガを探し求める。

 冴えないフリーライターの秀雄は、今日も淡々と雑誌コラムを書いている。
 そんな秀雄のもとに、文字起こしの仕事が舞い込んできた。
 それは、1人のこれから母親になるであろう女性が、娘に語る声。

「その笑顔をこれからもずっと見ていたいのですが、何があるか分からないので、ママがみぃに話したい事を残しておきます」

 1人で録音機に向かっていた彼女の孤独と恐怖を追体験しながら、秀雄に幼い頃の記憶が蘇る。

「勝手に想像されて、周りから期待されて、噂されて・・・」

 水葉は同じ傷に出会い、助けようと手を差し伸べるが、決して自分の傷と向き合おうとはしなかった。

 3つの【命】が一本の赤い糸となり、【愛】が物語を繋いでいく。
 その糸に気づいた時、人は道をみつける。
 それはあなたを想う、赤い糸。
 命と愛を描いた、明日に歩みだす物語。
(ナイスコンプレックスのホームページより引用)

 ストーリー的にもテーマ的にもありふれたお話ではあるし、演出にしても(ところどころ舞台らしい細工はあったものの)基本的には役者の演技に委ねるのみ。2時間以上もの上演時間中、余興も休憩も一切無しというストレートかつストイックな公演。それゆえ役者的にはかなり「背水の陣」的なプレッシャーはあったでしょうが、観る側としては役者一人一人の渾身の演技を堪能できるわけでして。結果としては、客席のそこここから鼻を啜る音が聞こえてきて、ワタシも危うくハンカチのお世話になりかけたというところでございます。

 印象に残った部分について感想を書いておくと、まずは編集者役の森田陽祐さん。この人の演技は凄かった。苦悩にしても、怒りにしても。こういうのを「いぶし銀」って言うんだろうなぁ。
 それから、幸子役の阿澄佳奈さん。本業が声優だけに、この人の「声」の力は凄い。幸子が苦悩を泣きながら録音したテープをライターが再生する場面では、その声の力に危うくこちらまで号泣しそうになりました。
 ライター役の末原拓馬さんは前半と後半のギャップが凄かった。後半、書くか書かないかで編集者とやりあう場面の迫力は見応えあったなぁ~
 水葉役の田上真里奈さんは、ホントに舞台慣れしてるなぁという演技でした。女子高生の衣装がまったく違和感なく似合ってるくらい可憐なんだけど、しばしば大きなセリフを発するときには身体が2倍になったんじゃないかというくらい存在感がとてつもないことになってました。
 本屋さん役の赤眞秀輝さんの雰囲気は独特でしたね。あの素っとぼけてるようで注意をそらさない雰囲気は良かったなぁ。

 いやはや、まことに良いものを観せていただきました。帰りにやたらと角煮を食べたくなったのには閉口したけど~(笑)

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