JR乗りつぶし旅行~奥羽本線・花輪線~(後編)

 翌朝。このホテル、コロナ対応がまだ抜けきっていないのか朝食は各部屋に配膳されます。まるでコロナ療養施設みたい。
 1階に休業中のレストランがあったから、もともとはそちらでいただくようになっていたんでしょうけどね。
 それはともかく、味はそこそこ美味しかったですよ。

 チェックアウトして弘前駅へ。今日も列車の旅が続きます。

 ホームに降りると、ちょうど昨日乗ったばかりのリゾートしらかみ青池編成が発車するところでした。

奥羽本線 普通 弘前(09:02)→大館(09:44)
列車番号8646M 701系電車(N4編成)

 今日最初に乗る列車は、奥羽本線の普通列車はこれしかないらしい701系の大館行き。ため息が出ます。

 定刻に発車した普通列車はガラガラでした。
 窓の外はいちめんのリンゴ林。津軽っぽい景色です。

 弘前駅のお隣にある石川駅を過ぎたところで、弘南鉄道の線路が跨いでいきました。この弘南鉄道も大赤字だそうで、廃線にならないか心配です。

 岩木川の支流である平川を渡ると、すぐに大鰐温泉駅です。

 駅のホームの向こうには、先ほど奥羽本線を跨いでいた弘南鉄道の大鰐駅。
 大鰐温泉は津軽藩の御用達だった温泉地。江戸時代の温泉番付には熱海温泉と並んで「行司」になってます。時間が許せばのんびりひと風呂浴びたいところですけど、今日は先を急ぎます。

 碇ヶ関駅から白沢駅にかけての県境は、矢立峠という古くからの羽州街道の難所。その昔は25‰の急勾配や急カーブで超えていたそうですが、今は全長3,180mの矢立トンネルであっさり通過。陣馬駅から先、上り線はまっすぐ下内川(米代川の支流)沿いに大館方面に下っていきますが、上り勾配となる下り線は急勾配を緩和するために全長2,404mの松原トンネルで迂回するようになっています。

 大館駅に到着。次の列車まで45分ほどありますから、ちょいと駅の外に出てみましょう。

 跨線橋には、こんな看板が。ハチ公は大館市の生まれだったんですね。

 駅舎は建替中のようで、今はプレハブになってます。

 駅前にあるのが、花善本店。西は折尾駅のかしわめしと並び称される全国二大鶏めしのひとつがこちらで製造されている鶏めし弁当です。もちろん、1つお買い上げしました。

 駅舎の片隅に見かけたのがこちらの銅像。秋田犬といえば、最近は中国のパンダ外交よろしく、プーチン大統領やテニスのザギトワ選手、朝青龍関なんかにバラ撒かれて人気急上昇中ですね。

 やたらと秋田犬アピールが激しいなぁと思ったら、今年はハチ公生誕100周年なんだとか。これは知らなかった。

 駅前にこんな施設までありました。
 中に入ると、入り口付近には秋田犬グッズのオンパレード。特大のぬいぐるみはお値段¥43,300だそうです。
 カフェエリアもあるのですが、なぜかコーヒーは品切れ中とかで飲めませんでした(悲)

 奥にはグラスウォール越しに秋田犬を見物できるエリアがありました。このサイズになると、雨でもなければ外で遊ばせてあげたいけどねぇ~

 建物を出て敷地内の広場に行くと、青ガエルの愛称で有名な東急5000系電車がデンと鎮座してました。
 この東急5000系は、渋谷駅前の忠犬ハチ公像とともに渋谷駅前のシンボルとして静態保存されていたものですが、令和2年に渋谷駅再開発に伴って撤去されることになりこちらへお引越ししたんだとか。ハチ公は上野教授に引き取られて1年で飼い主と死別してますし、初代ハチ公像も太平洋戦争直後に溶かされて機関車に化けちゃってるしとどうもハチ公がらみは不運続きなようですが、こちらは引き取り手が現れてよかったですねぇ。
 なお、ハチ公の飼い主だった上野英三郎教授がお亡くなりになったのは大正14年でハチ公がお亡くなりになったのは昭和10年、一方でこの東急5000系電車が走り始めたのは昭和29年ですから、ハチ公とコレとは「ハチ公像とともに渋谷駅前に置かれていた。」という共通点しかないんですけどね。

 車内はこんな感じ。ロングシートを半分だけでも残してくれているのはありがたいです。

 運転台も一応残ってます。マニア垂涎なのかしら。

 さて、駅に戻ると秋田行きの特急「つがる2号」が入線するところでした。見た目は昨日乗った「いなほ」のE653系とそっくりですが、こちらはE751系の交流専用電車です。

 そうそう、駅舎の隣にはこんなスペースが。大館貨物駅です。
 もともと大館駅からは十和田湖の南東にある小坂町の小坂鉱山から小坂鉄道という貨客路線が最近まで走っていまして、鉱石(銅や亜鉛、鉛など。)や濃硫酸を運搬していました。この小坂鉄道が廃線となったのは平成20年とわりと最近のことです。

 そんなわけで往年はさぞかし賑わったであろう大館貨物駅ですが、小坂鉄道なき現在でもコンテナ貨物の取り扱いを行うなど貨物駅自体は現役みたい。ホームからはたくさんのコンテナが見えます。

 ホームの柵には、こんな札が引っかかってました。寝台特急日本海が廃止になったのは平成24年のことですから、もう十年以上前なんですけどねぇ。

花輪線・IGRいわて銀河鉄道線 普通
  大館
(10:29)→盛岡(13:56)

列車番号1932D キハ110系気動車(107編成)

 さて、大館駅からは先月復旧したばかりの花輪線で盛岡を目指します。
 乗るのはJR東日本の非電化区間で多く走るキハ110系。
 てっきりワンマン運転と思っていたら、車掌さんが乗務していてビックリでした。しかも、終点の盛岡駅まで交代なし・・・3時間半の乗務、お疲れさまです。

 大館駅を出ると、すぐ南側で奥羽本線の線路を跨いで東へ。奥羽山脈へと向かいます。

 車窓から見えるのは一面の田んぼ。もちろん、車内はガラガラです。

 ハチ公のふるさとである扇田駅の手前で米代川を渡ります。もっとも、花輪線はずっとこの米代川沿いを走るんですけどね。

 山がだいぶ近くなってきました。空模様も心なしか雲が厚くなってきたような。

 右側に線路が見えてきました。

 十和田南駅に到着です。
 この十和田南駅は、平地にあるスイッチバックの駅。この駅で列車は進行方向を変えて再び東に向かいます。
 この駅がこういう構造になっているのはこの北側にある小坂町(↑に書いた小坂鉄道の起点の町。)を目指す予定だったためだそうでして。仮にそれが完成していれば、秋田県側から十和田湖に向かうのももうちょっとラクだったかもですね。

 駅舎はなかなか味わいがあります。

 駅の北側の線路は、小坂町に向かうことなく行きどまり。まあ、もう延伸することはありえないでしょうねぇ。この花輪線自体、いつ廃線になってもおかしくない状況ですし。

 さて、大館駅から走ってきた線路を見送って再び東へと向かいます。

 鹿角花輪駅に到着。この駅ではなぜか26分も停車します。せっかくなので駅を出てみましょう。

 ホームから駅舎に向かう途中には蒸気機関車の動輪が置かれてました。プレートには「陸中花輪駅」の文字が。
 ワタシも今回乗るまで「陸中花輪駅」という認識でしたけど、平成7年に今の駅名に改称したらしいです。

 駅舎はこんな感じ。花輪線では数少ない有人駅です。

 駅の右隣には真新しい観光案内所兼バスターミナルがありました。トイレもキレイなのでこっちがお勧め。

 駅前ロータリーの先にセブンイレブンが見えましたけど、その途中に大判焼きのお店を発見。「あんこ入れすぎの」という看板に惹かれてお買い上げしちゃいました。

 列車に戻ってさっそくいただきます。
 確かに普通に売ってる大判焼きよりあんこ多め・・・かも。美味しかったですよん♪

 八幡平駅に到着。
 坂上田村麻呂が八幡神宮を奉って戦勝祈願したといわれる八幡平ですが、その高名ゆえに秋田県側と岩手県側それぞれの入口に「八幡平」の名を冠した駅があります。東北自動車道のインターチェンジも「鹿角八幡平IC」と「松尾八幡平IC」の両方がありますが、花輪線の駅は秋田県側がこちらの「八幡平」駅。岩手県側は東北道と同様に「松尾八幡平」駅となっています。なんとも紛らわしいですねー。

 さて、この八幡平駅を過ぎたあたりから山深くなってきました。列車は何度も米代川の渓谷を跨いで進みます。田山駅で長らく連れ添った米代川と分かれ、奥羽山脈の分水嶺を藤倉トンネルで超えます。

 トンネルを抜けて最初の駅が横間駅。ここから先の岩手県側は急に人里っぽさが出てきます。

 時計を見るとちょうどお昼時。さっそく大館駅で買った鶏めしをいただきましょうか。
 掛け紙がなんとも歴史を感じさせますねぇ~

 お弁当はこんな感じ。鶏めしは文句なしの旨さ。そしておかずの茄子田楽や牛蒡煮、つみれやがんもどきもいい感じです。
 惜しいのが、茄子田楽の味噌が弁当箱の裏側まで汚しちゃってること。多少の揺れにも耐えられるようにしておくのも駅弁の使命じゃないかと・・・美味しかったけどね。

 食べ終えたところで列車は安比高原駅に到着。東北を代表するスノーリゾートです。駅の周りにある白樺林が高原リゾートっぽさを演出してます。

 安比高原からまた分水嶺を超えて、お隣の松尾八幡平駅に到着。もともとは「岩手松尾」駅だったのが、昭和63年に今の駅名に改称したんだとか。やっぱり「八幡平」の名が欲しかったんですかね。

 松尾八幡平駅からは北上川の支流である赤川沿いに平野部を走ります。
 やがて八幡平市の中心地である大更(おおぶけ)駅に到着。久しぶりの有人駅です。

 東大更駅の先で赤川を超えると、もうすぐ花輪線の終点の好摩駅に到着します。

 元東北本線(現 いわて銀河鉄道線)の線路が見えてきました。

 好摩駅に到着。ここからは第三セクターのいわて銀河鉄道線に入るのですが、三セク乗り入れでは珍しくJRの運転士と車掌がそのまま終点の盛岡駅まで乗務します。なんでも、いわて銀河鉄道線には気動車を運転できる運転士がいないからなんだとか。
 いわゆる「電車」の免許は「甲種電気車運転免許」で気動車(ディーゼルカー)の免許は「甲種内燃車運転免許」と種類が違います。最近、JR東日本がやたらと電気式ハイブリッド車にこだわっているのは、それであれば電車の免許と気動車の免許のいずれでも運転できる(ただし別途講習受講は必要。)のも理由のひとつなんでしょうね。人材不足のご時世、わざわざどっちかしか運転できない運転士じゃ困るのかと。

 終点の盛岡駅に到着。盛岡駅ではIGR専用のホームに到着するので、いったん改札口を通過してから新幹線ホームに向かいます。

東北新幹線 やまびこ64号
  盛岡
(14:08)→???

列車番号64B E5系電車(U28編成)

 新幹線ホームに上がると、12番線と13番線にE5系新幹線が並んでました。なかなか、圧巻な光景ですねぇ~
 仙台まではガラガラでしたけど、仙台駅からは満席。運悪くE席を取れなかったのでA席にしたのですが、3人掛けの真ん中B席に大柄なお兄さんが乗ってきて、かなり苦痛でした・・・
 それにしても、盛岡駅発着のやまびこ号まで車内販売やグランクラスのサービスを廃止しちゃうってさすがにやりすぎですねぇ。
 上越新幹線みたいに、ワゴン販売を復活すればいいのに。

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