「真理子」さん問題

 今朝の北関東は曇り。でも、雲の隙間からは日差しも見えていて、日中は穏やかな晴れになりました。
 昨日までの寒さもようやく一段落ってところでしょうか。思川桜の開花も一気に進みそうです。

 先日、新しいダイヤの時刻表を買いに駅ビルにあるツタヤへ行ってみたら、愛読している岡崎琢磨さんの「珈琲店タレーランの事件簿」最新刊(7巻)を見つけてお買い上げしちゃいました。
 すぐに「自炊」してあっという間に読み終えちゃったのですが、「あとがき」を読んでちょっと驚いたことがありまして。

 (以下、ネタバレを含みます!)
「余談になりますが、本作中の二編において登場人物の名前を似せたのは意図的です。悲劇があまりにつらく、せめて別の世界では幸せな二人でいてほしいとの思いから、そうしました。北村薫先生が『秋の花』と『スキップ』の登場人物に同一の名前を授けた手法を参考にしています。」

 「ハネムーンの悲劇」において新婚旅行に出発するために関西空港へ向かう途中に事故死してしまった「海鈴」と、「ブルボンポワントゥの奇跡」のラストでプロポーズされる「鈴海」。このタレーランシリーズでやたらとこだわった名前を付けたがたる岡崎さんらしいなぁとは思いながら読んでいたのですが、ワタシが大好きな北村薫さんも同じことをしていたとは気づきませんでしたねぇ。

 言われてみれば、『秋の花』の”被害者”と『スキップ』の主人公であるは同じ「真理子」さん。単に「真理子」って名前が好きなだけだと思っていたのですが・・・
 もっとも、ネットで検索した限り、北村薫さんはこの同一性について解説した形跡は見当たらなかったです。実際、タレーランの「鈴海」は純粋に”幸せになる人”だけど、スキップの「真理子」は”幸せ”と言えるのかどうかかなり微妙な立場でして。本文中にも
「時の無法な足し算の代わりに、どれほど容赦のない引き算が行われたのか」
「雷にでも打たれたように、一瞬に事実を理解した。だからこそ、わたしは、嘘だ、とつぶやいていた。だだをこねるように、嘘だ、嘘だ、嘘だ。
 むごい。
 と、
 思った。」
なんて表現もありますしねぇ。『秋の花』の「真理子」さんを思ったことはあったかもしれないけど、「かわいそうだから救ってやろう」とまでは考えてなかったんじゃないかしら。

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