ひたち海浜公園のネモフィラ

 いつか見に行きたかったものひとつだったのが、ひたち海浜公園のネモフィラでした。海辺の小高い丘がネモフィラのブルーで一面覆いつくされる風景はとても有名ですが、なかなか見に行く機会がなく・・・
 何しろ、あしかがフラワーパークの大藤と同じように世界的に有名な観光地となってまして、シーズンともなると日本中どころか世界中から観光客が押し寄せる状況。しかもフラワーパークと違って夕方には閉園してしまうので、遠方からの観光客がいなくなる閉園間際を狙って行くという手も使えません。

 ところが、今年はコロナ禍のおかげで外国人観光客はほぼストップ。ひょっとして狙い目なんじゃない?と気づいたのが数日前のこと。
 今年は大藤同様にネモフィラの開花も早くて既にピークは過ぎちゃったようですが、ひたち海浜公園のオフィシャルTwitterを見るとまだ何とか楽しめるみたいです。

 そんなわけで、急遽ネモフィラ見物へ出かけることにしました。

ひたちなか海浜鉄道湊線
  普通  勝田
(06:53)→阿字ヶ浦(07:21)

列車番号107 キハ11形(2代)気動車(キハ11-7)

 いくらインバウンドがオフリミットになっているとは言え、国内観光客は健在です。となると、遠方からの観光客がいない開園直後が狙い目。
 そんなわけで、始発電車を乗り継いで勝田駅に到着したのが朝の7時前。
 勝田駅からひたち海浜公園へ行くルートは、勝田駅から路線バスで行く方法と、ひたちなか海浜鉄道湊線で阿字ヶ浦まで行きそこから徒歩で行く方法とがあります。もちろんバスの方が断然早いのですが、コロナ禍の中で密は避けたいですし、ローカル線ならではの旅気分も味わいたい。というわけで、今回は列車を利用することにしました。

 勝田駅での乗り継ぎ時間はわずか2分。ひたちなか海浜鉄道ではSuicaなどは使えないので切符の購入が必須です。きっぷを買う時間がとれるか心配だったのですが、勝田駅での乗継客はワタシのほか数名程度。あっさりと窓口でフリーきっぷを購入できました。
 1日フリー乗車券とひたち海浜公園の入場券がセットになったこのきっぷ、なんとお値段は¥1,000ぽっきり。勝田駅から阿字ヶ浦駅までの片道運賃は¥570ですから、往復するだけで元をとれちゃいます。これにネモフィラシーズンのインフレ価格大人一人¥700円の海浜公園入場券が付いてくるのですから、申し訳ないほどの安さです。
 期間限定の割引なんだそうですが、↑に書いたバスの入場券付きフリー乗車券が実は¥930だそうでして、たぶんそれに対抗したんでしょうね。例年の相場は知らないですけど、ひょっとしたらどちらもコロナ禍での集客対策なのかもです。

 1両だけの単行列車なのですが、乗客は常時1桁。まあ早朝だっていうこともありますし、上野からでは間に合わない時間帯ですからネモフィラ狙いの観光客も私だけだったんでしょうね。
 勝田駅から30分弱で終点の阿字ヶ浦駅に到着。降りたのはワタシのほか2名ほどでした。

 阿字ヶ浦駅から海浜公園までは徒歩25分ほどなのですが、GWの期間限定で無料の臨時バスも運行しています。しかも、このバスはネモフィラのあるみはらしの丘に最も近い海浜口に着けてくれるのでとっても便利でした。

 なのですが、このバスの乗客はワタシひとりだけ。しかも運転手さんはとっても気さくな方でして、
「海浜鉄道でいらっしゃるなんて珍しいですねー。」
「そうなんですか?」
「たいていの方は勝田駅からバスを使いますね。あっちの方が早いですし。この列車でいらっしゃる方はよほどの通な方ですね。」
「通どころか、海浜公園に行くのも初めてなんですけど。」
「えー、そうなんですか?どちらからいらっしゃったんですか?」
「○○からですー。始発電車を乗り継いで。」
「へー。始発だとこの時間に着いちゃうんですか、意外と早いですねー。そういえば、○○には駅そばを食べに行ったことがありますよ。」
「え、そんなに有名なんですか?地元だとあんまり意識したことなかったですけど。」
「あそこのは、そばが美味しいんですよ。」
「常磐線なら我孫子のから揚げそばの方が有名ですよね。」
「あ、ご存じでしたか。あそこもから揚げと汁は美味しいですけど、麺がイマイチなんですよねぇ。その点、○○のは麺と汁が美味しくて。」
などと所要9分の乗車時間中、地元の見どころから駅そば談義までずっとおしゃべりしてました。

 公園の海浜口からみはらしの丘までは徒歩10分ほど。
 みはらしの丘に到着すると、まだ朝の8時前だというのに既に観光客がぱらぱらといらっしゃいました。大半の方はマイカーでいらっしゃったんでしょうね。

 コロナ対策も兼ねてなんでしょうが、ネモフィラのシーズン中、みはらしの丘では一方通行となります。早朝ということもあり、あまり混雑している感じはなかったです。

 海を望める中腹にて。
 ピークの時期ならネモフィラの花、海、そして空の3つのブルーを味わえるってのがココのウリなんだそうですが・・・この日は雲が多くてそういうタイミングはつかめずじまい。満開の時期を過ぎててネモフィラも緑が増えてたってこともあるんでしょうけどね。
 今度は満開のタイミングで快晴の時に来たいなぁ~

 この日は寒気の影響を受けて、晴れたり曇ったり目まぐるしい天候でした。時折、パラパラと小雨も降ったりしてましたし。幸い、傘が必要になるほどではありませんでしたけどね。

 シーズン後半ということでだいぶ緑が濃くなってきてはいましたけど、まだまだ十分に楽しめる感じでした。

 時折青空が覗く場面もあったので、タイミングをとらえてパチリ。

 やっぱりネモフィラは青空が合いますねー♪

 みはらしの丘は、想像していた以上に広かったです。
 丘のてっぺん付近はもう花が終わっちゃってましたが、中腹付近はまだまだ見ごろ。

 丘を下る道すがら、皆さん思い思いに写真を撮ったりはしゃいだり。のどかな時間が流れています。

 丘のふもと付近もたくさんのネモフィラが咲いてます。せっかくマクロレンズを持ってきていたので使ってみました。

 ちょっとぼかし過ぎかしら。今度はもっと絞りをいじりながら撮り比べてみましょうかね。

 みはらしの丘からの帰り道、菜の花の群生がありました。
 こちらもそろそろシーズン終盤。

 バスの運転手さんから、チューリップはゼッタイおすすめですよ!って言われたので立ち寄ったのですが・・・
 遠目にはキレイだけど、近くで見るとけっこう萎れちゃってます。残念。

 そんな中水たまりのほとりで記念写真を撮ってる新婚さんがいらっしゃいました。

 記念写真の背景に使ってたチューリップ。品種名は「ハネムーン」って言うらしいです。なるほど☆

 チューリップ畑からは中央口が近かったので、そのまま25分ほど歩いて阿字ヶ浦の駅に戻ります。
 列車の時刻まではまだ間があったので、バスの運転手さんがオススメしてた駅近くにある堀出神社に立ち寄ってみました。

 この神社、寛文6年(1671年)の創建でご神体の鏡は水戸光圀公の奉納というなかなか由緒正しい神社だそうなのですが・・・

 すぐお隣にはこの神社が建てたという「ほしいも神社」なるものが。
 茨城県やひたちなか市の名産である干し芋のPR施設ってところなんでしょうかね。バスの運転手さんの話だと、テレビでもとりあげられたことがあるんだとか。

 ちゃんと、絵馬も芋のカタチだそうです。
 堀出神社の社務所で干し芋も販売しているようでしたが、ワタシはあまり好物ではないのでパス。

 境内には桔梗のような形の花がちらほら。調べたらツルニチニチソウ(Campanumoea maximowiczii)という花でした。

ひたちなか海浜鉄道湊線
  普通  阿字ヶ浦
(10:09)→那珂湊(10:22)

列車番号120 キハ11形(2代)気動車(キハ11-7)

 駅に戻ると折り返しとなる上り列車が入線していました。驚いたことに、車両と運転手さんは往路と同じです♪

 朝ごはんを食べずに来ていたので、フリー乗車券の特権を活かして那珂湊駅で途中下車することにしました。(写真は帰りに撮影したものです。)
 那珂湊駅から900mほど歩くと、そこにあるのが「おさかな市場」。那珂湊漁港に隣接して鮮魚店や飲食店が軒を連ねています。せっかくですので、そこで新鮮な海の幸をいただいていくことにしたのですが・・・
 市場周辺の道路は駐車場待ちの大渋滞。そして市場の中は年末のアメ横並みの大混雑・・・ネモフィラより遥かに「密」です。皆さん、遠出をしない代わりに「車で行ける手近な観光地」へお出かけとなったんですかね。

 のんびり市場を歩いて店選びをしたかったのですが、さすがに感染の危険を感じたので手近なお店に飛び込んじゃいました。
 で、注文したのがコレ。

 刺身がてんこ盛りの海鮮丼。これに牡蠣の小鉢やらしじみ汁やらが付いて¥1,500ナリ。漁港ならではの逸品ですね♪

 大満足でお店を出ると、雨がパラパラ。しかも、だんだん雨足が強まってきてます・・・
 傘をさすのも面倒なので、速足で駅に戻ります。

 次の上り列車まで、30分ほど時間がありました。
 駅舎の中では、地元の方らしいご夫婦がギターの弾き語りをしてまして、それにのんびりと耳を傾けながら懐かしい感じの駅舎を眺めていると、気になる看板が。

 なんと、銚子電鉄の名物「ぬれ煎餅」が売られていました。なんでも、ひたちなか海浜鉄道と銚子電鉄は姉妹鉄道提携をしているそうでして。
 ほかにも、この間行ったばかりの会津鉄道「芦ノ牧温泉駅」とこの「那珂湊駅」とが姉妹提携しているという看板もありました。ローカル鉄道が連携して何か面白い企画をやってくれたらいいですね。

ひたちなか海浜鉄道湊線
  普通  那珂湊
(11:31)→勝田(11:46)

列車番号124 キハ11形(2代)気動車(キハ11-7)

 やってきたのは、またもや同じ車両。
 ひたちなか海浜鉄道のホームページを見てみたら、どうやら一日に運行される車両は2種類だけみたいです。なので、50%の確率で同じ車両になるってことなんですね。

 帰りの上り列車は、席が8割方埋まってました。部活らしき高校生の姿が多かったです。三セクにしては珍しく輸送実績は伸びていて、数年後には終点の阿字ヶ浦駅から海浜公園西口までの路線延長も予定されているんだとか。単に海浜公園のネモフィラ観光客狙いってだけじゃなくて、隣接している大型ショッピングモール「ニューポートひたちなか」への買物客も当て込んでいるあたりはさすがですが・・・
 それなら、もうちょっと速度アップしてほしいなぁ。全長14.3kmで所要28分って、表定速度は31km/h弱。都営三田線と同じ程度なんですけど、これだと単純計算で勝田駅からショッピングモールまで所要34分とバスの倍以上かかっちゃう。おまけに運賃も割高だし。快速列車の運転も計画されてるようですが、せめて所要20分くらいまで縮めないとバスやマイカーに勝てないんじゃないかしら。


 15分ほどで終点の勝田駅に到着。
 ずいぶんあれこれ動き回った気がするけど、まだ午前中なんですねー。早起きは三文の徳とは良く言ったものです。

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