カニハサミイソギンチャクの謎

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八丈島や沖縄各地ではメジャーかつ大人気のこちらキンチャクガニさん。チアガールのボンボンよろしく,純白のイソギンチャクをフリフリして威嚇する姿は,(本人(?)は必死なんでしょうケド)見とれてしまうほど愛らしさに満ちています。去年の久米島でもガイドのヒロシくんがミリサイズの極小キンチャクガニさんを見つけてくれて,見慣れてるワタシもついつい夢中でシャッターを切ったものでございました。

 で,このフリフリしてるイソギンチャクさんですが,これまで謎に包まれてました。一応,「カニハサミイソギンチャク」という和名と“Boloceractis prehensa”などという学名(他にも説あり)が付けられてはいたものの,その生態はまったく分からずガイドさんも「このカニさんがどこから拾ってくるのかぜんぜん分かってないんですよ~」ってログ付け時に話していたものです。

 ところが沖縄にある阿嘉島臨海研究所の機関誌「みどりいし」No.23にコレに対する答えが載ってました。タイトルもズバリ「キンチャクガニ Lybia tessellata が保持するイソギンチャクの謎」というものでございます。(「みどりいし」はネットでもPDFで自由に見られますので興味のある方はどうぞ。)
 これによると,カニハサミイソギンチャクと呼ばれていたモノの正体は普通種のイソギンチャクである「カサネイソギンチャク “Triactis producta“」だったみたいです。さすがにワタシもイソギンチャクさんまではまじめに同定したことがないのですが,ネットで写真を見てみるとキンチャクガニさんのボンボンとは似ても似つかないお姿。これがどうしてあの純白ボンボンになるのかはよく分かりませんが,↑の研究所の学者さんが実験してみたところではカニさんのボンボンを岩の上に戻してしばらくすると元のカサネイソギンチャクさんの姿に戻るんだとか。
 でも,「どうやってカニさんがボンボンを拾ってくるのか」「ボンボンになったカサネイソギンチャクさんは自然界ではどのタイミングで元に戻るのか」なんていう生態の謎はまだ分からないまま。それに小笠原あたりでは別の種類のイソギンチャクさんがボンボンになってる可能性もあるとか。
 謎が一つ解けたらまた次々と新たな謎が産まれる。これが生物のおもしろさでもあるんですね。

(上の写真 2012.07.24 久米島 フィッシャーマンズコーナーにて。)

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