中禅寺金谷ホテル(その1)

 先週末は大腸内視鏡検査でぐったりしたワタシ。
 それでなくてもコロナ禍は3年目に突入するし、第6波でまたマンボウだし、年が明けてからは年度末で何かと気忙しいし・・・
 ちょっと温泉でのんびりしたいなぁ~と思っていたら、じゃらんからシルバー会員向けの¥5,500クーポンと期間限定のボーナスポイント¥1,000分が降ってきました。やっぱり、マンボウ&第6波で皆さん自粛生活しちゃってるんですかね?
 手持ちのポイントも合わせると¥8,000以上お安くできるみたい。

 こいつを使ってどこか温泉に行けないかしらと調べてみたら、中禅寺金谷ホテルが空いてました。
 ここの料理は以前から評判いいし、一回食べてみたかったんですよねー。
 そんなわけで、この3連休は奥日光で過ごすことにしました♪

JR日光線 普通
  宇都宮
(13:38)→日光(14:24)

列車番号845M 205系600番台(Y10編成)

 日光・鬼怒川あたりならたいていマイカーで行くのですが、数日前に降った雪が気になったので今回は電車&ホテルの送迎バスを利用することにしました。
 鉄道利用で日光へ行くには東京からだと東武線を利用するのが普通ですけど、このところダイヤ改正のたびに快速や急行といった料金不要の優等列車が削減されている上にトイレ付きクロスシートの6050系車両もトイレ無しロングシートの20400型に置き換えられていて露骨なまでに特急列車への誘導が図られています。
 こうなると、意地でも東武特急なんかには乗りたくないワタシ。今回は宇都宮からJR日光線を利用することにしました。

 ホームに停まっているのは205系600番台の日光線専用レトロ調塗色車。もともとは1990年に制作されて京葉線で使用されていた205系0番台でしたが、京葉線にE233系が導入されたためそれまで115系や107系など昭和中期に製造された車両が走り続けていた宇都宮線末端部(小金井~黒磯間)や日光線へ2012年に「おさがり」してきたという代物です。
 この「おさがり」に当たっては、単に10両編成から4両編成へ短編成化しただけではなく、車椅子対応トイレの取付けや寒冷地仕様化(暖房設備の大容量化やドアレールヒーター・半自動ドア設備の設置など。)といった大改造が施され、新たに600番台とされました。
 同じ改造車の中には2ドアクロスシート車両へと大改造したジョイフルトレイン「いろは」に改造されたY3編成もありできればそちらに乗ってみたかったのですが、残念ながらタイミングが合いませんでした。
 ちなみに、来月のダイヤ改正でこの205系600番台はすべて廃車となるみたい。やっぱり車齢が通算30年を超えたら寿命ってことなんですかね。

 東京と日光を結ぶ観光路線としての性格が強い東武日光線と異なり、JR日光線は完全なローカル線。コロナ禍前は「ジャパンレールパス」が使用できるので新幹線から乗り継いで日光へ向かう外国人観光客もそこそこ乗ってきていたのですが、コロナ禍となった今は宇都宮市へ通期・通学のために利用する沿線住民が主な利用者となっています。ワタシが乗った電車も、観光客がちらほら混じってはいるものの地元民っぽい方々が多数派でした。
 東京の電車と違って、田舎のローカル線は一駅がとっても長いです。宇都宮を出発すると鶴田、鹿沼、文挾、下野大沢、今市と途中駅は5駅しかないのですが、所要時間は45分以上。一駅進むのに平均8分以上かかる計算です。

 ようやくJR日光駅に到着しました。
 日光の玄関はすっかり東武日光駅に奪われた感じですが、最初にできたのはもちろんこちらのJR日光駅。明治23年というから、鉄道黎明期に早くも誕生したんですね。
 現在のレトロな駅舎は大正元年に落成した2代目の駅舎。明治期からVIPが数多く訪れる世界的な観光地と知られただけに、貴賓室なんかも備えた重厚な造りです。
 時間があったらゆっくりと見て回りたいところですが、ホテルの送迎バスの時間が迫っているのでさっさと送迎バスがとまっている東武日光駅の駐車場へと急ぎます。

 駐車場へ行ってみたら、そこには超満員のマイクロバスが停まっていました。
 ちょうど東武特急も到着したタイミングのようで、バスの周りには乗り切れないお客さんたちが当惑した感じで佇んでいます。こんなこともあろうかとホテルもマイクロバスのほかにワゴン車を用意していたようでして、スーツケースなどの大荷物と乗り切れない客はそちらへ誘導されていました。
 東武日光駅から中禅寺金谷ホテルまでは、途中日光金谷ホテルを経由してちょうど50分ほど。ホテルの送迎バスは、毎日3往復しているみたいです。1時間に2本ある路線バスでも同じくらいの所要時間ですけど、片道¥1,300かかります。ちょうど、ホテルでのグラスワイン1杯分が浮くってのはウレシイです♪

 ほぼ定刻の午後3時半にホテルに到着しました。
 さすが標高約1,300mの高原だけに、数日前に降った雪がまだまだ積もっています。日光市街からいろは坂を経由して中禅寺湖に至る国道120号線はしっかりと除雪されていたのでノーマルタイヤでもなんとかなりそうですけど、国道からホテルに入る道はところどころアイスバーンになってました。坂も急なので、ノーマルタイヤじゃまず無理でしたね。マイカーを避けて正解でした。

 送迎バスが超満員だったので、当然フロントも長蛇の列。特に急ぐ必要もないので、のんびりとロビーでくつろぎます。
 ホテルの玄関には早くも雛飾りが。

 そして、フロントデスクにも。
(こちらは夜に撮影。)

 ようやくチェックインを済ませて鍵をもらったら、お部屋がある3階へ。
 一応エレベーターもありますけど、ロビーの階段を利用します。ロビーは吹き抜けになっていて、なかなか良い雰囲気です。

 客室が並ぶ廊下。ロビーの階段もそうですけど、あちこちに木材が使われていて暖かみを感じさせます。それだけに客室の扉が鉄製なのが何とも・・・どうせなら、この客室扉も木製にすればいいのにね。

 お部屋はスタンダードなツインルーム。

 けっこう広々していて、壁際にライティングデスクがあるほか小さいながらもソファとテーブルも付いています。

 水回りはユニットバス形式。ウチより大きなバスタブがありましたけど、ここは温泉なのでまったく使いませんでした。

 トイレはウォシュレット付き。
 この建物は平成4年に建て替えられたそうですけど、水回りは年季を感じさせます。でも、このウォシュレットにしてもエアコンにしても要所要所では新しいものに交換されていて、不便は感じませんでした。

 ティーセットは緑茶とほうじ茶のティーバッグにクッキー、そしてミネラルウォーターのペットボトルが2本。連泊の場合は追加してもらえます♪

 バルコニーからは木立の向こうに中禅寺湖が望めます。ちなみに、ホテルから湖水が見えるのは冬場の今だけ。以前夏にお隣にあるホテル四季彩に泊まったときは、鬱蒼と茂る林に遮られてましたもんね。

 さて、一息ついたらお風呂へ。
 このホテル、もともとは温泉設備がなかったようでして、浴場は後から建設されました。実はワタクシ、30年くらい前に親に連れられて泊まったことがあるのですが、伝統と格式のあるホテルには似つかわしくないとっても粗末な浴場だったのを覚えています。
 その後、露天風呂が設けられたり浴場をリニューアルしたりしたようで、今はとっても快適なお風呂になりました。ワタシが最近よく泊まるハーヴェスト鬼怒川のお風呂に比べるとこぢんまりしていますけど、総客室数が57室しかありませんからこれで十分なんでしょうね。今回の滞在中、混雑していたのは2度だけでしたし。
 浴槽は男女別に内湯と外湯が1つずつ。そして洗い場には仕切りが設けられていますし、お湯の出もスムーズでとっても快適。お湯は硫黄泉の源泉かけ流しで今のような厳冬期にはぴったりでした。

 お風呂の後、お部屋でごろごろとしていたらあっという間に夕食の時間。夕食はホテル内にあるレストランでいただきます。けっこう敷居の高そうなレストランですが、ドレスコードはなく「浴衣とか短パンはやめてね。」っていう程度。ワタシは一応ジャケットを着ていきましたけどね。

 オードブルは「栃木しゃもと湯葉のテリーヌ フォアグラのソース」。コースが「スペシャルディナー栃木」というだけあって、のっけから栃木の食材が登場です。あっさりとした鶏肉や湯葉のテリーヌに濃厚なフォアグラのソースが見事に合っていて、あっという間に白ワインが1杯カラになりました。
 スープはかぼちゃのポタージュ。スープと一緒にバゲットといちごのロールパンが出てきたのですが、さすがに県内あちこちでベーカリーも運営している金谷ホテルだけに美味しかったです。
 魚料理は「金谷ゆずサーモン 二つの火入れ」。ヤシオマスをソテーとポワレの二通りに調理したもの。これに「栃木県産キノコのピュレとトリュフのヴィネグレット」ソースがからんで絶品でした。付け合わせにさりげなくキャビアが添えてあるのも豪華です。3皿目にして世界三大珍味がそろい踏みでした。
 ゆずのソルベで口直ししたあとは、メインの肉料理「とちぎ和牛”匠”フィレ肉のポワレ 栃木赤ワインソース温野菜添え」が登場。ウェイターの方が「これ、病みつきになるんですよー」と言いながらサーヴしてきましたけど、確かにとろけるようなお肉でした。
 メインと一緒に供されたのがトマトとクレソンのサラダ。花弁のようにトマトの皮が向かれていて、見た目も華やかです。このあたり、いい仕事してますねー。
 デザートはショコラにスカイベリーのムース、そしてフルーツ盛り合わせとコーヒー。
 さすがは金谷ホテルのスペシャルディナー堪能いたしました。

 食後はロビーでひとやすみ。
 ここのロビーには暖炉がありまして、冬季の夜には火が灯ります。
 暖炉の脇で、パチパチと爆ぜる音を聞きながらコーヒー片手に読書・・・ものすごく贅沢な時間でした。
 いまどき、現役の暖炉があるというのも日本最古のホテルならではって感じですね。

 正確に言うと、「現存している最古の西洋式ホテル」である金谷ホテルは日光市街にある方でして、中禅寺湖のこちらのホテルの元々国策ホテルとして昭和初期に建てられた「日光観光ホテル」が前身です。もっともスタート時点から金谷ホテルが受託経営していたので事実上は一体ですけどね。
 その後、戦争直後には占領軍に接収されたり平成28年には東武鉄道の子会社になったりと紆余曲折を経て現在に至ります。

 暖炉がある1階ロビーの真上には、宿泊者専用のラウンジがあります。

 こちらのラウンジではコーヒーと紅茶のサービスがあります。紙コップなのがちょっと残念ですが、部屋などへ持ち帰りも自由です。
 現在の建物は平成4年に建て替えた際カナダ人の建築家が設計したそうですけど、木材がふんだんに使われていたり暖炉があったり、ゆったりとした空間の演出はさすがだと思います。もっとも、この建て替えの経費がもとで経営危機に陥ったそうですけどね。総客室数57室しかないホテルには贅沢すぎたというところでしょうか。

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