鬼怒川へ1(中編)

 翌朝の朝ごはんも昨日と同じお食事処にて。典型的な日本旅館の朝ごはんって感じですね。ちなみに、朝食のご飯はお釜炊きじゃなくてお櫃で持ってきました。「お代わりはいかがですか。」などと尋ねられましたが、さすがに一人でお櫃2杯は無理です~(笑)

 「暖かいうちにどうぞー」とだし巻き卵&牛肉のしぐれ煮は追加で持ってきてくれました。それと湯豆腐&焼き魚は固形燃料の卓上コンロで温める感じ。
 朝食でも温かいおかずが多いのはうれしいです。

 さてさて、2日目のプランはなーんにも考えてませんでした。
 旅館内の喫茶室でコーヒーをいただきながら読書ってのもいいのですが、この日は建物内にいるのがもったいないくらいの暖かな陽気に恵まれまして。せっかくなので、ちょいとお出かけしてみることにしました。

東武鬼怒川線,野岩鉄道会津鬼怒川線,会津鉄道会津線,JR只見線
快速「AIZUマウントエクスプレス1号」
  鬼怒川公園
(09:41)→会津若松(11:50)

列車番号3155(会津線内は3156D)AT501+AT701気動車

 鬼怒川公園駅に行ってみると、ちょうど喜多方まで直通する快速「AIZUマウントエクスプレス1号」が入線してくるところでした。

 AIZUマウントエクスプレスは、栃木県の日光・鬼怒川地区から野岩鉄道会津鬼怒川線、会津鉄道会津線を経由して会津若松(一部は喜多方まで)とを結ぶ快速列車。一つの列車が4社の路線を直通するというのはなかなかレア。ほかには東武東上線や西武池袋線から東京メトロ副都心線を経由して東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線を結ぶfライナーくらいですかね。ちなみに最長距離を走る6号は喜多方から「JR磐越西線」「JR只見線」「会津鉄道会津線」「野岩鉄道会津鬼怒川線」「東武鉄道鬼怒川線」「東武鉄道日光線」と4社6線区を経由して東武日光駅まで走ります。今回乗った1号は鬼怒川温泉駅始発の喜多方駅行きなので4社5線区ですが・・・これでも十分すごいです。

 一昔前は名古屋鉄道の特急「北アルプス」号で使用されていた車両のキハ8500系が運用されていたのですが、現在では会津鉄道オリジナルのAT-700形に切り替えられました。
 ところが、本日やってきたのは普通列車用のAT-500形との併結。しかも2両ともトイレ無し車両・・・
 なんでも、一昨年の法面崩落に列車が乗り上げた事故の影響で、今でも車両不足が続いてるんだとか。一方でAIZUマウントエクスプレス号は「トイレあり」と案内している関係からか「トイレに行きたい方は乗務員にお知らせください。」というアナウンスがあり、一部駅で停車時間を延長してトイレ案内をするなど工夫してしのいでいました。

 会津鉄道会津線に乗るのは十数年ぶり。しかも前に会津若松から乗車したときは夜だったので、昼間に乗るのは初めてです。ちなみに、前回乗車したときもAIZUマウントエクスプレスでして、そのときは上記名鉄から払い下げられた8500系でした。
 車内はこんな感じ。まだ早い時間だからかそれともコロナの影響か、5割くらいの乗車率でした。

 川治湯本駅あたりまではまったく雪が見られなかったのですが、全長4,250mの葛老山トンネルを抜けて湯西川温泉駅に出ると途端に真っ白の銀世界。それ以降、会津若松まで銀世界が続いてました。

 列車は男鹿川沿いに山登り。よくまあこんなところに電車線を通したなぁ~とびっくりします。
 男鹿高原駅を出て全長3,441mの山王トンネルを抜けると野岩鉄道会津鬼怒川線と会津鉄道会津線との境界である会津高原尾瀬口駅に到着。今度は阿賀川沿いに川下りのコースとなります。南会津町の中心である会津田島駅までが電化区間。そこから非電化区間となり、湯野上温泉、芦ノ牧温泉と温泉地をめぐりながらお昼前にようやく会津若松駅に到着しました。

 会津若松に来たのは4回目。
 最初は高校の移動教室で鶴ヶ城などを巡ったらしいのですが、前夜の徹マン明けの影響で何の記憶もありません(爆)
 2度目と3度目は鉄道旅の途中でしたが、これまた単なる乗り換えで通過しただけ。なので、まともに街を歩くのはほぼ初めてです。
 帰りの列車まではちょうど2時間。無理して乗り過ごすとオイシイ夕食を食べ損ねません。そんなわけで、のんびり街歩きしながら鶴ヶ城だけ見に行くことにしました。
 鶴ヶ城(正式名称は「若松城」らしいです。)があるのは会津若松市の中心部、官公庁が立ち並ぶ追手町なのですが、中心駅である会津若松駅は市街地の北端にあるため徒歩30分ほどかかります。一応バスもあることはあるのですが、本数があまりないのでのんびりお散歩しちゃいました。

 会津地方は言わずと知れた豪雪地帯。今は雪に閉ざされる時期のはずですが、この日は季節外れの暖かさ。道路の雪もかなり融けていて、絶好の散歩日和でした。
 のんびりと大町通りを南に向かい、市役所通りにぶつかる神明通り南交差点からメインストリートである国道118号線へ。さらに10分ほど南へ向かい、案内板に従って東へ。合同庁舎や裁判所などの官庁街を抜けたところで鶴ヶ城が見えてきます。

 北出丸の入り口から敷地内へ。
 お濠は雪で真っ白です。

 天守閣。
 雪化粧していて、とっても美しいです。

 本丸の入り口には検温などを行うためらしいテントもあったのですが、さすがに季節が悪いためかそれとも首都圏の緊急事態宣言で観光客が減ったためか、何もしてませんでした。

 本丸の周囲には桜の木がたくさん植えられているようなのですが、さすがに今の時期は枯れ木同然です。

 蒲生氏郷により鶴ヶ城が築かれたのは文禄2年(1593年)のこと。その後上杉景勝が引っ越してきたけどたった1年で米沢へ転出したりといったゴタゴタを経て江戸時代には松平家(旧保科家)の居城となったのですが、幕末にはいわゆる会津戦争で落城。一応、無数の着弾痕を残しながらも天守は焼けずに残っていたのですが、やはり傷みが激しすぎるとして明治7年(1874年)に取り壊されちゃいました。
 その後、お城の敷地は陸軍の練兵場や戦後は競輪場(!)が設置されたりした時期もあったのですが、昭和40年に鉄筋コンクリート造で現在の姿になったようです。

 天守閣は有料で中に入ることができます。1階は土産物屋、地下1階と2階から4階が博物館スペース、そして最上階の5階は展望台となっています。
 こちらは東側。

 南西側の眺めはこんな感じ。
 一応、福島県の中でも有数の都市のはずですが、あまり高い建物はないんですね。やっぱり会津戦争以来のわだかまりで繁栄から取り残されちゃってるのかしら。

 お城を出たら、のんびりと歩いて西若松駅へ。会津線を使うならこっちの方がお城からは近く徒歩20分くらいです。
 駅前のヨークベニマルでおにぎり2個を買ってお昼ごはん。もちろん市内には喜多方ラーメンを食べられるお店もあるのですが、夕食に備えてお昼ごはんは軽めにしておきました(笑)

会津鉄道会津線 快速 リレー140号
  西若松
(13:55)→会津田島(14:52)

列車番号3311D AT502気動車

 良いタイミングで快速列車がやってきました。

 往路と同じ快速ですが、往路のAIZUマウントエクスプレスが会津線内各駅停車となるのに対し、このリレー号は途中停車駅が芦ノ牧温泉駅、湯野上温泉駅、塔のへつり駅、会津下郷駅のみで所要時間も10分ほど早くなります。リレー号という名前のとおり終点の会津田島駅で特急「リバティ会津」号と接続しており、列車名の数字部分は接続する特急の番号と同じになっています。つまり、この「リレー140号」は「リバティ会津140号」と接続するというわけですね。

 湯野上温泉駅にて。茅葺きのなんとも趣のある駅舎ですねー。

 会津田島駅に到着。
 会津線の途中駅なのですが、この駅が電化区間と非電化区間の境界となるため、AIZUマウントエクスプレス以外はすべてこの駅で乗り換えになります。

会津鉄道会津線,野岩鉄道会津鬼怒川線,東武鉄道鬼怒川線
 特急 リバティ会津140号  会津田島
(15:00)→鬼怒川公園(15:56)

列車番号1140 500系電車(504F編成)

 会津田島駅からは特急「リバティ会津」に乗り換えます。

 東武500系電車は、2017年から導入された特急専用車両。愛称の”Revaty”とはVarietyとLibertyとを合わせた造語で、その名のとおり多線区で様々な運用ができるように高い柔軟性(=自由度)を持たせた車両です。1編成を3両で構成することで多客区間は2編成併結で運用し閑散線区は分割して3両編成のみで運転するといったように柔軟な運用が可能になっています。また、会津線内の変電所容量(1列車につき電動車2両が限界。)にも考慮して1編成が2M1T(電動車2両+付随車1両)で構成されています。

 車内はこんな感じ。
 同じ特急車両でもフラッグシップとなる100系(スペーシア)よりもシートは若干見劣りします。シートピッチも10cm短いし。勝ってるのは最近の車両だけにちゃんと各席にコンセントが付いていることくらいですかね。そのくせ、平日の特急料金はスペーシアよりもお高い(土曜休日は同額になる。)のだから訳が分かりません。

 この特急「リバティ」ですが、実は下今市駅以北の区間は普通列車を兼ねていて特急料金なしで乗車できます。ただし、下今市駅以南と通し乗車する場合は全区間の特急料金が必要となり指定席券も全区間で発券されるため、特急券を持った方が後から乗車してきたときは席を譲らないといけなくなります。もっとも、鬼怒川温泉駅までは閑散区間ですから立ち退きを求められることはまずなさそうですけどね。

 湯西川温泉駅の手前。ぽかぽか陽気のせいか、日の当たるあたりは雪が消えてます。

 川治湯元駅まで戻ってきました。ようやくお外から雪が消えましたね。

 結局、車内ガラガラのまま鬼怒川公園駅に帰ってきました。
 お風呂に入ってから、のんびりと食事処へ向かいます。


 二日目の夕食。
 メニューを見ると「新春お献立」とあります。先月のメニューってことですかね。
 椀物は鰻の飛竜頭、向付のシマアジはサヨリになってました。焼物は甘鯛若狭焼、台物は牛ヒレ肉の陶板焼です。今日もめっちゃ豪華ですー★

 その晩。なんか気配を感じて真夜中に目が覚めました。
 そうこうしているうちに、けっこう大きな地震。体感的には震度3くらいだったかしら。
 しばらくしてからスマホを見てビックリ。東北で震度6強だったとのこと。こっちも震度4前後あったんですね。我が家は十ン階にあるせいか震度1でも結構揺れるので、体感震度が弱めに感じちゃうみたいです。明日、無事に帰れるのかしら。

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