伊香保にて1(後編)

 翌朝。朝食前のひと風呂は、ぴのんから徒歩2分のところにある「松本楼」の露天風呂へ。
 「ぴのん」は「松本楼」の娘さんが経営しているようで、「ぴのん」の宿泊客は「松本楼」のお風呂も自由に使えます。徒歩2分とはいえ伊香保は坂の町。けっこうキツイ上り坂(帰りは下り坂)を登っていくので冬場や雨、雪の日はけっこう大変かも。
 朝は8階の展望風呂が男湯。「ぴのん」の札が下がった湯かごを持っているとフリーパスで入れます。大浴場は「黄金の湯」と「白銀の湯」の浴槽が内と外とに1つずつ。そして露天からは伊香保の町を一望できなかなかの絶景です。

 ひと風呂浴びた帰り道。道端ではコスモスが見ごろを迎えてました。

 朝食。シェフはフランス料理のほかに中華もやっているようで、オムレツメインの洋食のほか中華粥のセット、そして「松本楼」の朝食バイキングもセレクトできるらしいです。ワタシは洋食をチョイス。ドリンクはフリーになっていてリンゴやオレンジのジュースのほかコーヒー・紅茶も自由に飲めました。
 ふわとろのオムレツは絶品でしたよー。

 お部屋で一息ついてからチェックアウト。1泊2食で¥18,500プラス入湯税¥150のところ、じゃらんで降ってきたポイント¥3,500分に今週から始まった全国旅行支援の補助金¥5,000で1万円ポッキリ。昨夜のドリンク代も全国旅行支援のクーポンが使えて実質無料でした。入湯税だけは別途現金払いさせられたけど。

 さて、そのままお宿に車を置かせてもらってちょいとお散歩。
 伊香保の交差点にある小さな公園には、路面電車のレールと車両が保存されています。
 渋川から伊香保までは、その昔、路面電車が通っていました。開通したのは伊香保が温泉地として脚光を浴び始めた明治末期。その後昭和2年に東武鉄道が買収して東武伊香保軌道線となりました。当時、起点となった渋川新町駅は、この伊香保線のほかに前橋と渋川を結ぶ前橋線や高崎とを結ぶ高崎線、そして今の吾妻線の前身である吾妻軌道や沼田と渋川を結ぶ利根軌道の5路線が終結する一大ターミナル駅だったみたいです。
 もっとも、昭和初期からは乗合バスと競合するようになり各軌道線は次々と廃線に。伊香保軌道線はその中で最後まで残っていたものの昭和31年に廃止されました。現在同じ区間を走るバスが24分で駆け抜けるところを45分もかかっていたというのだから、まあ勝てませんね・・・

 実際に渋川からクルマで走るとよくわかりますけど、渋川から伊香保まではものすごい急勾配です。渋川駅の標高が185mなのに対し伊香保の温泉街は標高700mほど。今の県道33号線は容赦なく直進するルートですけど、当時の伊香保軌道線は蛇行やスイッチバックをしつつ、それでも平均勾配41.8‰という急勾配。もはや路面電車というよりれっきとした登山電車でした。ちなみに、渋川駅へ向かう電車は渋川市街までトロリーポールを下ろした惰性のみで走行していたほか、緊急ブレーキとして電磁吸着ブレーキ(モーターを発電機として利用して電磁石に通電し、発生させた磁力でブレーキシューをレールに密着させる仕組み。これを採用した車両はほかに碓氷峠専用の補助機関車EF63型があります。)を日本で初めて装備したんだとか。
 この公園があるのは終点の伊香保駅跡地のやや手前。保存車両のデハ27は、台車だけは手に入らなかったのか豊橋鉄道から譲り受けたものを使用しているみたいです。ということは、肝心の電磁吸着ブレーキは付いてないってことですね・・・がっかり。

 伊香保電気軌道線の終点伊香保駅よりちょっと先には、伊香保ケーブル鉄道が榛名山と伊香保を結んでいました。こちらは昭和4年に開通したものの、その後昭和37年に今の県道33号線伊香保榛名有料道路が開通したことからバスやマイカーとの競合に敗れて昭和41年に廃止されています。
 そんなわけで、伊香保から榛名山への道はケーブルカーが通っていたくらいの急坂。ケーブルカーは標高約750mの伊香保から標高約1,100mの榛名山までの標高差350mを約2,090mの軌道で登っていたらしいですけど、さすがに自動車道路は約4倍の約8kmかけて登ります。それでも、平均43‰の急勾配にヘアピンカーブが連続するワインディングロードとなっています。その途中の展望台からは、伊香保温泉街の街並みを一望できました。

 昨日の上ノ山公園の展望台からは「真っ白」しか見えなかったけど、今日は晴れてホントに良かった!
 展望台からさらに坂を上って黒髪山神社の鳥居脇を通過し榛名の外輪山の内側に入ると、突然ロングストレートの道に変わります。その先にあるのが榛名湖です。

 上毛三山のひとつ榛名山の頂上にある榛名湖はカルデラ湖。湖を取り囲む外輪山の中でひときわ目立つこんもりした山が榛名富士です。

 カルデラ湖を形成するくらいですから活動していたころの榛名山は相当激しい噴火を繰り返したようです。今でこそ伊香保とは伊香保温泉街を指しますが、万葉集に詠われたころの「伊香保」とは「厳か峰(いかつほ)」、すなわち榛名山一帯を指していたようでして。
 現代では浅間山のほうが警戒されてますけど、榛名山も富士山と同レベルの休火山ランクB。噴火したらタダじゃすまないんだろうなぁ~

 榛名湖1周のドライブを楽しんだ後は、再び伊香保に戻って余った地域クーポンでおみやげの温泉まんじゅう(←ちなみに温泉まんじゅうは伊香保が発祥なんだとか。温泉まんじゅう特有の茶色い皮は伊香保の「黄金の湯」に似せたものらしいです。)をお買い上げ。
 榛名湖では15℃くらいの気温でしたけど、渋川に戻ると20℃オーバー。窓を開けながら走ってちょうどいい感じです。そのまま上武道路から東毛広域幹線道路国道354号BPへ。向かった先は毎度おなじみ太田の献血ルームです。
 思った以上にスイスイと走れちゃったので、到着したのはお昼過ぎ。ここの献血ルームは午後1時からお昼休みなので「午前中」に到着しちゃいました。予約していたのは午後2時からだったのですが、たまたま空いていたようでスイスイと採血開始。予約の午後2時前には終わっちゃいました。ラッキー☆

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