テストだけではねぇ…

 田舎の電車の乗客は大半が学生と相場が決まっているんだけど,私の通勤電車もご多分に漏れず高校生が半分以上です。
 んでもって最近は1学期の期末テストシーズンらしく,電車内でもテキストやノートを開いて自習したり,はたまた友達同士で問題を出しあって昨夜のお勉強の成果を確認したり・・・
 そういえば,自分にもそんな時期があったなぁ~と懐かしくなってます。

「じゃあ,昭和初期に菊池寛が設けた文学賞は何賞と何賞?」
「えーと,直木賞ともうひとつは・・・えーと・・・」
「あ,あ,」
「そうだ,芥川賞!」
「正解~!」
「でもさ,どうせなら菊池賞って付ければ良かったのに,なんでだろうね?」

・・・うーん,ホントに「名前」しか覚えないのね。その経緯については教えてないのかなぁ~

 北村薫さんの小説「六の宮の姫君」は芥川と菊池の関係について延々と論じている一風変わった小説なんだけど,この中で2つの賞の創設について菊池寛が文藝春秋で語った言葉が引用されてます。

 直木を紀念するために、社で直木賞と云ふやうなものを制定し、大衆文芸の新進作家に贈らうかと思つてゐる。それと同時に芥川賞金と云ふものを制定し、純文芸の新進作家に贈らうかと思つてゐる。これは、その賞金に依つて、亡友を紀念すると云ふ意味よりも、芥川直木を失つた本誌の賑やかしに亡友の名前を使はうと云ふのである。

 菊池寛の2人に寄せる想いがあふれた名文句。芥川も菊池の名前をとって息子に「比呂志」って付けたくらいの親友同士ですからねぇ・・・
 そうそう,芥川の葬儀の席で菊池が読んだ弔辞(これも↑の小説に引用されてます。)にも涙なくしては読めないような名文句がありました。

  君が夫人賢なれば
  よく遺児を養ふに堪ゆるべく
  我等亦微力を致して君が眠
  のいやが上に安らかならん事に
  努むべし
  ただ悲しきは君去りて
  我等が身辺とみに蕭条たるを如何せん
  友人総代

 政治史にしても文学史にしても,単語や年号ばかりを覚えていても何にもならない。ホントのおもしろさはその「いきさつ」にあるんだよ,ってツッコミたくなるワタクシでした。ま,ワタクシの場合はいきさつばかり覚えて興味ない年号とかを覚えなかったために試験では落第点ばかりだったのも事実ですが。(論述問題は大得意だったんだけどね・・・)

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